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広報まいづる 平成28年12月号vol.970掲載
子どもの幸せを願わない親はいないでしょう。それが結婚などの人生の大きな節目となる出来事ならなおさらのことです。本来、結婚は本人同士の合意のみで成立するものですが、親としては相手の全てを知っておきたいという気持ちが強くなるのかもしれません。これはある講演会で聞いた実際の話です。
Aさんは、結婚を考えていましたが、母親が相手の女性の身元調査を行い、その結果、女性の出自(※)を理由に結婚を猛反対され、2人は別々の人生を歩むことになりました。女性は人間不信に陥り、一時は自殺をも考えますが、その後、人生をともにするパートナーと出会い、今は幸せな家庭生活を送っているそうです。しかし、Aさんは、母親に結婚を反対されたことがトラウマとなり、未だに独り身の生活を送っています。
Bさんの場合は、母親が相手の女性の身元調査を行ない、その結果、親戚から「結婚をするなら縁を切る」と言われてしまいました。母親は当初、相手の女性の人柄を認め、結婚に賛成でしたが、親戚のあまりに強硬な態度に、考えを変えざるを得なくなってしまいました。B さんは、母親を何度も説得しようとしましたが、かたくなに反対され続けました。その結果、B さんは家族も、住み慣れた郷里も捨て彼女と新しい人生を踏み出しました。母親は、愛する息子を失うことになってしまったのです。
親だから子どものために相手のことを知っておきたいという気持ちはあるかもしれません。しかし、興信所に調査を依頼したり問い合わせをしたりして、本人の人格や資質とは全く関係のないことを理由に、その人の価値や結婚の適否を判断することは、相手の人権だけでなく、わが子の人権をも否定する愚かな行為といえるのではないでしょうか。2つの事例を、みなさんはどのように受け止められますか。
身元調査は、無断で他人のプライバシーをのぞき見する卑怯な行為であり、それが差別意識や偏見に基づいて行われているとしたら、明らかに人権侵害で、決して許されるものではありません。人はそれぞれ違う環境で育ち、考え方も違い、誰一人として同じではありません。大切なことは、「その人自身」を知ろうとすることなのです。
(※注)出自 :出どころ、生まれ、血縁、家系
舞鶴市役所市民文化環境部人権啓発推進課
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