○舞鶴市伝統的建造物群保存地区保存条例

令和7年7月1日

条例第23号

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第1項の規定に基づき、本市が都市計画に定める伝統的建造物群保存地区(法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区をいう。以下「保存地区」という。)に関し、現状変更の規制その他その保存のために必要な措置を定めることにより、本市が有する歴史的景観の次世代への継承を図り、もって本市の文化的向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「伝統的建造物群」とは、法第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。

(保存活用計画)

第3条 市長は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第19条の規定により保存地区が都市計画に定められたときは、第12条第1項の審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存及び活用に関する計画(以下「保存活用計画」という。)を定めなければならない。

2 保存活用計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 保存地区の保存及び活用に係る基本計画に関する事項

(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要があると認められる物件(以下「環境物件」という。)の決定に関する事項

(3) 保存地区内における建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)及び環境物件の保存整備計画に関する事項

(4) 保存地区内における建築物等及び環境物件に係る助成措置等に関する事項

(5) 保存地区の保存及び活用のために必要な管理施設及び設備並びに保存地区の環境の整備に関する事項

3 市長は、保存活用計画を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 第1項及び前項の規定は、保存活用計画を変更する場合について準用する。

(現状変更行為の規制)

第4条 保存地区内における次に掲げる行為については、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない。

(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転又は除却

(2) 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの

(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更

(4) 木竹の伐採

(5) 土石の類の採取

(6) 水面の埋立て又は干拓

2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる行為に該当する行為で次に掲げるものについては、同項の許可を受けることを要しない。

(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(2) 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却

 仮設の工作物

 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるもの

(3) 次に掲げる木竹の伐採

 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採

 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採

 森林病害虫等の防除のための木竹の伐採

 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採

 仮植した木竹の伐採

(4) 前3号に掲げるもののほか、次に掲げる行為

 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為

 京都府公安委員会が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為

 農林漁業を営むために行う行為。ただし、次に掲げるものを除く。

(ア) 建築物等(仮設の工作物を除く。)の新築、増築、改築、移転又は除却

(イ) 用排水施設又は幅員が2メートルを超える農道若しくは路肩部分及び屈曲部又は待避所として必要な拡幅部分を除く部分の幅員が3メートルを超える林道の設置

(ウ) 宅地の造成又は土地の開墾

(エ) 森林の択伐又は皆伐(林業を営むために行うものを除く。)

(オ) 水面の埋立て又は干拓

3 市長は、第1項の許可をする場合には、保存地区の保存のために必要な限度において条件を付することができる。

(許可の基準)

第5条 市長は、前条第1項各号に掲げる行為で次に定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(6) 第4号の建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(7) 前条第1項第3号から第6号までの行為については、それらの行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(8) 前各号に定めるほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。

(許可に関する特例)

第6条 国若しくは地方公共団体の機関又は法令の規定により国の行政機関若しくは地方公共団体とみなされた法人(以下「国の機関等」という。)が行う行為については、第4条第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、同項の許可に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長に協議しなければならない。

第7条 次に掲げる行為については、第4条第1項及び前条の規定は適用しない。この場合において、第4条第1項の許可又は前条の協議に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長にその旨を通知しなければならない。

(1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)による都市計画事業の施行として行う行為

(2) 都市計画法による国、地方公共団体又は当該都市計画施設を管理することとなる者が当該都市施設又は市街地開発事業に関する都市計画に適合して行う行為

(3) 河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項に規定する河川又は同法第100条第1項の規定により指定された河川の改良工事の施行又は管理に係る行為

(4) 砂防法(明治30年法律第29号)による砂防工事の施行又は砂防設備の管理(同法に規定する事項が準用されるものを含む。)に係る行為

(5) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)による地すべり防止工事の施行に係る行為

(6) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)による急傾斜地崩壊防止工事の施行に係る行為

(7) 森林法(昭和26年法律第249号)第5条の地域森林計画に定める林道の新設及び管理に係る行為

(8) 森林法第41条に規定する保安施設事業の施行に係る行為

(9) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)又は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)に規定する林地荒廃防止施設災害復旧事業の施行に係る行為

(10) 国有林野内において行う国民の保健休養の用に供する施設の設置又は管理に係る行為

(11) 高速自動車国道若しくは道路法(昭和27年法律第180号)による自動車専用道路の新設、改築、維持、修繕若しくは災害復旧(これらの道路とこれらの道路以外の道路(道路運送法(昭和26年法律第183号)による一般自動車道を除く。)とを連絡する施設の新設及び改築を除く。)又は道路法による道路(高速自動車国道及び自動車専用道路を除く。)の改築(小規模の拡幅、舗装、勾配の緩和、線形の改良その他道路の現状に著しい変更を及ぼさないものに限る。)、維持、修繕若しくは災害復旧に係る行為

(12) 道路運送法による一般自動車道及び専用自動車道(鉄道若しくは軌道の代替に係るもの又は一般乗合旅客自動車運送事業の用に供するものに限る。)の造設(これらの自動車道とこれらの自動車道以外の道路(高速自動車国道及び道路法による自動車専用道路を除く。)とを連絡する施設の造設を除く。)又は管理に係る行為

(13) 自動車ターミナル法(昭和34年法律第136号)によるバスターミナルの設置又は管理に係る行為

(14) 信号機等道路交通の安全のために必要な施設の設置又は管理に係る行為

(15) 海岸法(昭和31年法律第101号)による海岸保全施設に関する工事の施行又は海岸保全施設の管理に係る行為

(16) 港則法(昭和23年法律第174号)による信号所の設置又は管理に係る行為

(17) 漁港及び漁場の整備等に関する法律(昭和25年法律第137号)第3条第1号に掲げる基本施設若しくは同条第2号イ及びロに掲げる機能施設に関する工事の施行又は漁港施設の管理に係る行為

(18) 港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第5項第1号から第11号までに掲げる港湾施設(同条第6項の規定により同条第5項第1号から第11号までに掲げる港湾施設とみなされた施設を含む。)に関する工事の施行又は港湾施設の管理に係る行為

(19) 航路標識法(昭和24年法律第99号)による航路標識の設置又は管理に係る行為

(20) 海上交通安全法(昭和47年法律第115号)による信号所の設置又は管理に係る行為

(21) 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和49年法律第101号)第3条から第6条まで及び第8条に基づく行為

(22) 気象、海象、地象又は洪水その他これらに類する現象の観測又は通報の用に供する設備の設置又は管理に係る行為

(23) 自然公園法(昭和32年法律第161号)による公園事業又は京都府立自然公園のこれに相当する事業の執行に係る行為

(24) 都市公園法(昭和31年法律第79号)による都市公園又は公園施設の設置又は管理に係る行為

(25) 土地改良法(昭和24年法律第195号)による土地改良事業の施行に係る行為

(26) 地方公共団体又は農業等を営む者が組織する団体が行う農業構造、林業構造又は漁業構造の改善に関し必要な事業の施行に係る行為

(27) 法第27条第1項の規定により指定された重要文化財、法第57条第1項の規定により登録された有形文化財、法第78条第1項の規定により指定された重要有形民俗文化財、法第90条第1項の規定により登録された有形民俗文化財、法第92条第1項に規定する埋蔵文化財、法第109条第1項の規定により指定され、若しくは法第110条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物又は法第132条第1項の規定により登録された記念物の保存に係る行為

(28) 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)第2条第1項に規定する鉄道事業に供する鉄道の建設(駅、操車場、車庫その他これらに類するもの(以下「駅等」という。)の建設を除く。)又は管理に係る行為及び同条第5項に規定する索道事業の用に供する索道の建設(駅等の建設を除く。)又は管理に係る行為

(29) 郵便差出箱の設置又は管理に係る行為

(30) 国又は地方公共団体が行う通信業務の用に供する線路又は空中線系(その支持物を含む。以下この条において同じ。)及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為

(31) 電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第4号に規定する電気通信事業の用に供する線路又は空中線系及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為

(32) 公衆電話施設の設置又は管理に係る行為

(33) 放送法(昭和25年法律第132号)による放送事業の用に供する線路又は空中線系及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為

(34) 電気事業法(昭和39年法律第170号)による電気事業の用に供する電気工作物の設置(発電の用に供する電気工作物の設置を除く。)又は管理に係る行為

(35) ガス事業法(昭和29年法律第51号)によるガス工作物の設置(液化石油ガス以外の原料を主原料とするガスの製造の用に供するガス工作物の設置を除く。)又は管理に係る行為

(36) 水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業若しくは水道用水供給事業若しくは工業用水道事業法(昭和33年法律第84号)による工業用水道事業の用に供する施設又は下水道法(昭和33年法律第79号)による下水道の排水管若しくはこれを補完するため設けられるポンプ施設の設置又は管理に係る行為

(37) 近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和42年法律第103号)第4条による保全区域整備計画に基づく事業の執行に係る行為

(許可の取消し等)

第8条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、保存地区の保存のために必要な限度において、第4条第1項の許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物等の改築、移転、除却その他違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

(1) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した者

(2) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその行為をしている者若しくはした者

(3) 第4条第3項の規定により許可に付した条件に違反した者

(4) 詐欺その他不正の手段により、第4条第1項の許可を受けた者

2 市長は、前項の規定により、許可を取り消し、又は行為の停止を命じ、若しくは措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ、第12条第1項の審議会の意見を聴かなければならない。

(助言等)

第9条 市長は、保存地区の保存のために必要があると認めるときは、保存地区内において第4条第1項各号に掲げる行為をしようとする者又はした者に対して必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

(損失の補償)

第10条 市は、第4条第1項の許可を受けることができなかったことにより損失を受けた者に対しては、通常生ずべき損失を補償するものとする。

(経費の補助等)

第11条 市は、予算の範囲内において、保存地区内における建築物等及び環境物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該建築物等若しくは環境物件の所有者等に対しその経費の一部を補助することができる。

(舞鶴市伝統的建造物群保存地区保存審議会)

第12条 本市における保存地区の適正な保存及び活用を図るため、舞鶴市伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、第3条第1項及び第8条第2項に規定する事項のほか、市長の諮問に応じ、保存地区の保存及び活用に関する事項について、調査し、及び審議するとともに、その結果を答申する。

3 審議会は、保存地区の保存及び活用に関する事項について、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員15人以内をもって組織する。

5 委員は、学識経験を有する者、保存地区内に建築物等を所有する者又は居住する者であって地域を代表するものその他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。

6 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 委員は、再任されることができる。

8 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

9 市長は、特別の事項を調査審議させるため必要があると認めるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

10 臨時委員は、第5項に規定する者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。

11 臨時委員の任期は、前項の規定による委嘱又は任命の日から当該特別の事項に関する調査審議が終了したときまでとする。

12 第8項の規定は、臨時委員について準用する。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第14条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。

(1) 第4条の規定に違反して、許可を受けず、又はその許可の条件に従わないで、同条第1項各号に掲げる行為を行った者

(2) 第8条第1項の規定による行為の停止の命令又は措置の命令に違反した者

第15条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

この条例は、最初の伝統的建造物群保存地区に係る都市計画の決定の告示のあった日から施行する。ただし、第12条の規定は、公布の日から施行する。

舞鶴市伝統的建造物群保存地区保存条例

令和7年7月1日 条例第23号

(令和7年7月1日施行)