あしあと
令和 7 年度一般会計予算及び令和 6 年度一般会計補正予算をはじめとする 32 件の議案の説明と併せ、令和 7 年度の市政運営に臨む私の所信の一端を述べさせていただき、議員各位並びに市民の皆様に、ご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
去る 2 月 12 日に、秋篠宮悠仁親王殿下に舞鶴引揚記念館等をご訪問いただきました。
令和 7 年度は、戦後 80 年、そして海外からの引揚開始 80 年という、歴史の大きな節目を迎える年となります。
舞鶴市は、引揚げの史実を後世に伝えるための施設である「舞鶴引揚記念館」を運営し、長きにわたりその役割を担っています。しかしながら、戦後 80 年が経過し、多くのシベリア抑留者の年齢が100歳を超える中、「体験者なき戦後の始まり」を迎えようとしています。
このような状況を踏まえ、市では引揚げの史実継承について、「次世代への継承」から「次世代による継承」を重点施策に位置づけ、積極的に取り組んでおり、「舞鶴・引揚語りの会」をはじめ、中学生から大学生まで45名の「学生語り部」とともに、引揚げの史実と平和の尊さを発信する活動を展開しています。
若い世代が貴重な地域の歴史を学び、自ら伝える「次世代による継承」は、舞鶴市のみならず、日本の未来にとって大きな希望です。
そのような中での悠仁親王殿下のご訪問は、平成29年にご両親である秋篠宮同妃両殿下にもご訪問いただいたご縁もあり、大変光栄なことと感じております。殿下には「学生語り部」による説明などをお聞きいただき、本市の今後の取組にとって大きな励みとなるものと確信しております。
戦後 80 年、海外引揚開始 80 年という節目の年において、「引揚げのまち舞鶴」として、史実継承と恒久平和を次世代へ伝えるため、世界へ、そして未来に向けた取り組みをしっかりと推進し、本市の役割を果たしてまいります。
さて、私が市長に就任して 2 年が経過しました。目指すまちの将来像に「未来に希望がもてる活力あるまち・舞鶴」を掲げる第 7 次舞鶴市総合計画・後期実行計画は、私が常々申し上げている「舞鶴市の未来は市民の声の中にある」との考えのもと、市民の皆様と一緒にまちづくりを進めたいとの思いを盛り込んだ計画であります。
この 2 年間、多くの市民の皆様との対話の中で、幅広い世代の声を聞き、また、多くの皆様と語り合いながら市政を推進してまいりました。そうした中で、市民の皆様が「成長する舞鶴」、「希望あふれる舞鶴」、「子どもたちが誇りをもてる舞鶴」の実現を強く望まれていると確信しているところであり、今後ともそうした声にしっかりと応えられるまちづくりを進めてまいる所存であります。
日本全体の人口減少が避けられない中、我々が目指すべきは、子育てしやすい環境づくりや、女性活躍の機会の拡大を進め、本市の未来を担う若者が活躍できる環境を実現し、人口規模が縮小しても地域活力、地域経済を維持・発展させられるまちをつくることであり、そのための手段を講じていくことが必要であります。
このまちで生まれ育った若者が住み続けたいと思えるまちづくり、一度市外に出た若者が帰ってきたいと思えるまちづくり、移住者から選ばれるまちづくりを推し進め、次代を担う若者の定着を促進することで、若い世代の活躍がまちに変化と活気を生み、地域経済を力強く成長させ、高齢者世代を支えていける好循環を生み出すことで、誰もが未来に夢と希望をもてるまち、希望を次世代に継承できるまちを実現してまいります。
さて、この 2 年間は、種をまき、しっかりと芽吹かせるよう市政を推進してまいりました。特に、多くの皆様に「子育てしやすい」と感じていただけるまちを目指した取組に力を入れ、令和6年度には、「中学校給食費の無償化」や「子ども医療費助成の拡大」、「子ども家庭センターの開設」を実現しました。「子育てしやすいまち」を目指した取組を、これからも、ますます強力に展開してまいります。
また、多くの関係機関や関係団体と連携、協力をいただく中で、本市と本市を取り巻く環境に明るい「変化」が生まれてまいりました。
昨年の 10 月 17 日、高野由里工場用地へのアイリスオーヤマ株式会社の飲料水製造工場の立地が決まりました。本市が待ち望んできた大型製造業の立地は、実に 17年ぶりのことであります。
この誘致の決定は、市民にとって長年の悲願であったダイワボウ舞鶴工場跡地の活用を実現し、地域経済の活性化、新たな雇用の創出に大きくつながるとともに、古くから地元に親しまれ、田畑を潤し、人々の生活を支えてきた、まさに地域の宝である「真名井の清水」が、アイリスオーヤマ株式会社の製品として、国内外の多くの方に親しんでいただけることは、地域の誇り、郷土愛の醸成にもつながり、本市に新たな希望をもたらすものであります。
また、9 月には、本市を代表する観光交流施設である赤れんがパークに隣接する旧文庫山施設において、複合施設「atick(アティック)」がオープンしました。民間活力により整備いただいたこの施設は、全国でも有数の知名度を誇る魅力的な事業者にも出店いただいており、オープンから 3 か月で約 8 万人の方が来店されました。
このエリアにある赤れんが倉庫群や、「atick(アティック)」から望むことのできる海側の景色は、本市の先人先達が紡いできた歴史に触れることのできる「本物」を体験できる場所であり、新たに出店いただいた事業者の皆様には、本市の持つ「本物」の魅力に共感いただき、この場所を選んでいただいたものであります。民間の繋がりの中で、本市の歴史や文化、魅力を最大限に生かした新たなスポットが誕生したことは、多くの市民の皆様に喜んでいただいているのではないでしょうか。
去る12月には、大阪市に新たにオープンした様々な企業や研究機関等が集積するグラングリーン大阪を会場に、関西経済連合会のご協力のもと、自治体ピッチを開催しました。
関西経済連合会との連携は、SDGs 未来都市として積極的に官民連携に取り組んでいることを背景とするものであり、関西経済連合会から全面的にご協力いただく中、大阪に新たに完成し、今後、関西におけるイノベーションの拠点となっていく施設で、私と市内で活躍する若手経営者が登壇し、関西圏を代表する企業の皆様を含め、約 100 名の参加者に対し、本市の魅力や価値を発信するとともに、本市のまちづくりへの協力・参画を呼び掛けました。この新たなチャレンジは、本市に関心を持っていただくきっかけとして、また、京阪神を拠点とする企業と本市で活躍する若手経営者の新たな連携へとつながるきっかけとして、繋がりが繋がりを生む有効な機会になったものと感じており、今後、まちに「変化」を生み出すための重要な取組になるのではないかと考えています。
さて、いよいよ本年 4 月から大阪・関西万博が開催されます。昨年 8 月には、日本国際博覧会協会等が主催する全国自治体 EXPO PLL Talksに登壇し、泉佐野市長や万博関係者の皆様と意見交換を行いました。
このイベントは、「世界と繋がる“海の万博”」を契機とした地域活性化について、自治体と経済界が意見交換することを目的に、「地域の魅力を世界と繋ぐ」をテーマに開催されたものです。
万博には、世界各国から約 2,820 万人もの方が来場されることが予想されています。
地域の魅力を世界に発信し、地域と地域が連携する意義や、地域が豊かになるための取組について議論する中で、私は改めて、この好機を逃さず、本市の魅力を最大限に発信し、インバウンドを含めた広域からの観光誘客を図り、新たな人流を創出し、観光振興、経済振興につなげなければならない。さらには、子どもから大人まで、多くの市民が最新技術や多様な文化に触れ、未来の社会、未来の舞鶴について考え、行動するきっかけにしたい。そして、新しい時代の流れを力にするために、チャレンジしなければならない、と強く確信したところであります。
新たなチャレンジにはリスクも伴いますが、今後とも舞鶴を盛り上げ、舞鶴に「変化」を生み出す取組、また、多様な人材の活躍を推進するための取組、新しい時代の流れを力にするための取組に躊躇することなくチャレンジしてまいる所存であり、令和 7 年度におきましても、勇猛果敢に「未来に希望が持てる活力あるまち・舞鶴」の実現を目指してまいりますので、引き続き、ご理解、お力添えを賜りますようお願いいたします。
それでは、上程されました第 1 号議案から第 9 号議案までの令和 7 年度一般会計予算及び各特別会計予算について説明いたします。
本市財政を取り巻く情勢は、基幹収入である市税については、地域経済が緩やかに回復することが期待される中、給与所得の増加等による市民税の増収が見込まれるものの、人口減少等による納税義務者の減少や平成23年度をピークとして大型事業所の設備稼働による固定資産税が減少傾向で推移しており、今後の見通しにおいても依然厳しい状況が続くものと予測しております。
一方、歳出においても、人口減少や少子高齢化への対応、担い手不足など、地方都市を取り巻く環境が厳しさを増す中、福祉、医療、介護等の社会保障関係施策の充実等による義務的、経常的経費の増加に加え、度重なる災害被害に対する防災・減災対策の強化、社会基盤や公共施設等の長寿命化対策、さらには、近年の物価高騰対策や人手不足に伴う処遇改善対策など、市が直面する行政課題は多種多様化しており、それらに対応する財政需要は大きく拡大しております。
私は、市長に就任してからの 2 年間において、こうした市財政への影響等を見据え、あらゆる財源を確保しながら創意工夫を凝らした様々な事業に取り組んでまいりました。低所得者等への緊急的な物価高騰対策や甚大な被害を受けた台風 7 号災害からの復旧・復興のほか、学校給食無償化に係る中学校給食の先行実施、対象年齢を 12 歳から 18 歳までに拡充した子育て医療費助成、こどもの成長段階に応じた支援を行う「こども家庭センター」の開設、市民との対話をヒントに予算化した公共施設予約システムなどのデジタル化の推進、安全・安心な教育環境を創る中学校体育館の空調整備など、これら未来への投資となる取組を加速させるとともに、決算においては実質収支額の黒字化と基金繰入を抑制し、本市財政の健全性の維持は
もちろんのこと、アイリスオーヤマ株式会社をはじめとした地域経済の活性化に大きく寄与する企業誘致など、本市の未来の希望となる取組を推進してきたところであります。
令和 7 年度は、これまでの取組による芽吹きを大きく育て、更に飛躍をさせていく重要な年となります。最重要施策と位置づける学校給食の無償化や不登校支援、新たな子どもの居場所づくり、学校トイレ洋式化の推進など、本市の未来を担う子どもたちがいきいきと暮らせるまちを実現させるための「こどもまんなか施策」を更に加速させるとともに、西消防署の移転整備や中央図書館建設をはじめとする次世代に引き継ぐ拠点施設の整備など、ハード・ソフト両面から将来を見据えた様々な施策を力強く推進する予算を編成しました。
これら事業の推進に当たっては、国府補助金や市債のほか、これまで蓄えてきた基金の活用など、あらゆる財源を効果的に活用することで、機を逃さず積極的に未来への投資を行う一方、持続可能な財政運営を後退させることなく、将来に責任のある財政基盤をしっかりと堅持しながら「未来に希望がもてる活力のあるまち・舞鶴」の実現に向け、3 つのまちづくり戦略の視点に立った各種施策を戦略的に展開させる実効性のある予算としています。
この結果、一般会計で 404 億 9,092 万円となり、令和 6 年度の当初予算額との比較では約43.2億円、11.9%増額した予算を確保したところであり、これは市制施行以来、過去最高の予算規模となっております。
それでは、令和 7 年度において推し進める第 7 次舞鶴市総合計画・後期実行計画に定める 3 つのまちづくり戦略と、市政運営の基本姿勢に沿って説明してまいります。
まずは、1 つ目の柱、「希望がもてるまちづくり」についてであります。
本市の豊かな自然、特色ある教育、充実した子育て環境などを最大限に生かし、住み続けたい、住んでみたいと思える地域をつくるための地域コミュニティの充実を促進し、市民や多様な団体が共に助け合う元気なまちづくりや、夢を育み、夢に向かって自らの将来を切り拓き、力強く生き抜く力を身に付ける質の高い教育環境づくり、市民一人ひとりがお互いの人権や個性を尊重する地域社会の構築に取り組み、このまちで生まれ、育ち、学び、働き、そして未来に希望が持てると感じてもらえる取組を推し進めてまいります。
まず、「子育て・教育環境の充実」に向けた取組であります。子どもたちは、私たちのまちの未来を担うかけがえのない存在です。子どもたちが健やかに成長し、豊かな心を育むことができる環境を整えること、そして、子育て世代を力強く支えることは、未来に希望がもてるまちづくりにおいて重要な取組であるため、子育て・教育環境の充実を最重点施策として推進してまいります。
不妊・不育治療を受けておられる方々への支援につきましては、治療に要する経済的負担が大きいことから、これまでの助成制度の補助率及び上限額を見直し、京都府内最高水準へ拡大することで、不妊・不育治療の経済的負担を軽減し、子どもを願う方への希望を支えてまいります。
妊娠中から出産、子育て期までの切れ目ない支援体制の充実を図るため、今年度、中総合会館に「こども家庭センター」を開設しました。児童福祉と母子保健が一体となった包括的相談支援体制を整え、全ての妊産婦と18歳までの子育て家庭を対象に、虐待への予防的な対応から個々の家庭に応じた対応まで切れ目ない支援を実施しております。
個々の家庭の状況に応じたきめ細かな支援を行うため、児童福祉と母子保健の一体的支援のツールである「サポートプラン」の作成を進めており、児童虐待の防止や家事・養育に困難を抱える家庭への新たな支援策として、市内事業所との連携により、サポートプランに基づく「子育て世帯訪問支援事業」を開始いたします。家事・子育て等に対して不安や負担を抱える家庭、妊産婦やヤングケアラー等がおられる家庭を支援員が訪問し、家庭が抱える不安や悩みを聞き、各家庭に応じた家事支援や養育支援の取組を行ってまいります。
また、子育てに困難を抱える家庭のニーズに応じた適切な支援を届けるため、要保護児童対策地域協議会に、元京都府児童相談所長にアドバイザーとして参画いただいており、専門的見地からの指導・助言をいただきながら相談支援の向上に取り組んでおります。
近年、全国的に10代の妊娠や中絶が社会的課題となっております。望まない若年妊婦や虐待の連鎖を止めることを目的に、令和 6 年度は、中学生を対象とする「命の健康教育事業」を試行実施しました。受講した生徒から「自分自身を大切な存在だと感じた」、「自分の将来を考える参考になった」といった感想を聞いているところであり、教員からの高い評価も踏まえ、継続して実施してまいります。
近年、産前・産後支援の重要性が高まっており、母子保健における更なる支援策につきましては、「市民との対話集会」や「子ども・若者支援会議」でも議論してまいりました。「全ての妊産婦とその家族が必要なサポートを選択し、幸せを感じながら安心して産み育てることができる舞鶴」に向け、その具現化を図ってまいります。
子育ての第一義的責任は家庭にありますが、家庭が子育てのすべてを担うことは難しいこともあることから、行政や様々な関係機関、地域住民の支援が求められます。特に国や京都府などの関係官庁が多数所在し、転出入が多い本市には、慣れない土地で、親族や友人知人など頼れる人がおらず、孤立する中で、子育てに悩まれる方もおられます。誰ひとり取り残すことなくしっかりと支えられるよう、全ての妊産婦が利用しやすい体制を整え、様々な家庭のニーズに応じた産前・産後支援のサービスを提供してまいります。
身体的心理的ケアの必要な産婦への支援につきましては、「産後ケア事業」として引き続き市内の医療機関に担っていただくこととし、妊娠期からの親同士の交流・仲間づくりなど、共助の取組として新たに「産前・産後サポート事業」を実施いたします。住民団体や事業所に支援いただくことで、市民、事業所、行政がそれぞれの強みを生かした役割分担を図りながら、全ての妊産婦と家族をサポートできる体制を構築してまいります。
併せて、京都府内初となる取組として、京都府助産師会と連携し、流産・死産等を経験した産婦や家族の心身の負担を軽減するための寄り添い支援「グリーフサポート事業」を実施してまいります。
保健、医療、福祉、教育の関係機関の連携による「舞鶴市発達支援体制検討会議」においては、今年度、就学前の障害・発達面に課題のあるこどもの支援方策について議論を進めてまいりました。
令和 7 年度においては、学齢期以降、就労・成人期までを見据えた支援のあり方について議論を行うこととしており、令和 6 年度から 7 年度の 2 年にわたる検討結果をしっかりと取りまとめ、施策化してまいりたいと考えております。
「待機児童対策」につきましては、保育所・認定こども園の利用を希望する全ての方が安心して子どもを預けることができるよう、待機児童ゼロを堅持するとともに、多様なニーズに対応した保育の提供を継続してまいります。
また、本年 4 月には、市立うみべのもり保育所と私立の聖母幼稚園と中舞鶴幼稚園が幼保連携型認定こども園に移行することとなっており、保護者の就労状況等に関わらず、0 歳から就学前まで一貫した質の高い乳幼児教育を提供してまいります。
加えて、保育士の離職防止を図るため、引き続き、民間の保育所や認定こども園で働く保育士への市独自の処遇改善や負担軽減を推進いたします。民間の保育所、認定こども園の保育士に対し、1 人当たり月額 1 万2 千円を引き続き補助するほか、保育士等の業務をサポートする「保育補助者」の配置に対する支援を継続してまいります。
市立中保育所につきましては、園舎が築40 年以上経過していることから中総合会館南側に新築移転・再整備いたします。急速な時代の変化や多様な子育てニーズへの対応、公立施設として果たすべき役割と機能の拡充・強化など、多角的な観点から最適な子育て環境を提供できる幼保連携型認定こども園として整備するものとし、令和10年度の開園を目指し、現在、設計業務を進めており、着実に事業を推進してまいります。
次に、「こどもまんなか社会」の実現につきましては、市では、本年3月に新たに策定することとしている「舞鶴市こどもまんなか計画」に基づき、こども・若者に関する施策を総合的に推進し、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない、未来に希望が持てるまちづくりを進めてまいります。
令和 7 年度からは、こども・若者の健全な育成支援を目指した取組やこども・若者の居場所づくり、体験活動の取組など、市内の民間団体やグループ等による活動に対する支援の上限を拡大するとともに、新たに、こども・若者が主体的に実施する事業に対しても支援を行います。
これは、「舞鶴市こどもまんなか計画」の策定に当たり、市内すべての小中高生7,480 人を対象として実施した「こどもまんなかアンケート」の結果や意見を踏まえたものであり、引き続き、皆様の声を聞きながら、舞鶴市全体でこども・若者の居場所づくりを推進してまいります。
中総合会館におきましては、1階ロビーに自学スペース、Wi-Fi環境を新設し、こどもの居場所、図書館分館として機能の強化充実を図ってまいります。
安全・安心な子どもの居場所を確保し、子どもの健やかな成長を助け、保護者の仕事と家庭との両立を支援する「放課後児童クラブ」につきましては、紙ベースのみの申請だったものをオンラインによる申請受付を可能にすることや Wi-Fi 環境の導入を進めるほか、運営に必要な支援員を確保するため、支援員の処遇改善や多岐にわたる業務の負担軽減を図り、働きやすい環境づくりを進めてまいります。
子どもたちの学習定着の支援につきましては、次代を担う子どもたちが、生まれ育った環境によって左右されることなく成長していけるよう、基礎学力の向上と学習習慣の定着を図ってまいります。小学校においては、放課後を活用して「学習支援事業」を実施し、保護者から子どもの学習習慣の定着に結びついているとの声をいただいているところであり、教育委員会と連携して学習支援員を確保し、現在の7 校から 8 校へと実施校を拡充してまいります。
子育て交流施設「あそびあむ」につきましては、平成 27 年 4 月の開設以来、子どもと多様な世代の大人が共に遊びを体験する機会を創出しているほか、SNS を活用した情報発信により、転入後間もない子育て家庭の仲間づくりなどにも寄与しており、年間約 6 万人の方々に利用され、本市の子育て支援の中核的施設としての役割を担っております。
子育て支援アプリ「まいココ」との連携により、24 時間 WEB で申し込みができる子育て支援プログラムやQRコードによる入館手続きなど、利用者の意見を反映して利用しやすい環境を整備してきている「あそびあむ」は、本年 4 月に開設 10 周年を迎えます。ゴールデンウィーク期間を10周年記念ウィークに位置付けて記念行事を開催し、子育て講演会に加え、10 周年の「10」にちなんだ新たな遊びや開館初期の懐かしい遊びを復活させ、更なる利用拡大と来館者の満足度の向上を目指して取り組んでまいります。
次に、教育環境の充実につきましては、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向け、第 3 次舞鶴市教育振興大綱において、「ふるさと舞鶴を愛し、夢に向かって将来を切り拓く子ども」の育成を掲げ、小中一貫教育により、義務教育 9 年間を修了するにふさわしい確かな学力を定着させるとともに、豊かな人間性・社会性を身に付け、健やかな体を育む、バランスのとれた生きる力の育成に取り組んでいるところであります。
私の公約として、市民の皆様にお約束した学校給食費の無償化につきましては、「次世代への積極的な投資」のための本市における最重要施策として、令和 6 年度の 2 学期から中学校において先行導入しました。全ての子どもを対象として、所得制限を設けずに導入したことにより、保護者の負担を軽減しながら、安全・安心な給食を提供できたことに加え、私が各中学校に招かれて食育に関する講話を行ったことで食育を推進する契機にもなっており、教育としての給食の充実を図ることができたものであります。
令和 7 年度は、中学校の給食無償化を通年で実施するとともに、3 学期からは、小学校でも無償化を実施してまいります。
併せて、給食食材に地場産物の使用を増やす取組を進め、地産地消による食育の推進とふるさと舞鶴への誇りと愛着心の向上につなげてまいります。
なお、学校給食無償化につきましては、令和 7 年度から、一般財源に加え、ふるさと応援寄附金と特定防衛施設周辺整備調整交付金等の基金造成により、計画的かつ安定的な財源を確保することとしており、将来にわたって持続可能な事業としてまいります。
中学校部活動の地域展開につきましては、府内でも他自治体に先行して取組を進めてきた実績があり、これまでの成果や、子ども、保護者に加え、地域の関係団体のご意向やご意見を踏まえながら、子どもたちが将来にわたってスポーツ・文化芸術活動に親しむことができるよう、全力で持続可能な体制の構築に取り組んでまいります。
この取組は、子どもたちの活動場所を学校から地域に移すだけでなく、子どもたちが今まで触れる機会がなかった活動への参加や、子どもから大人まで幅広い世代の交流の場を創出するものであり、多くの世代にとって魅力あるまちづくりに繋がるものと考えております。
このたび新たに策定する「舞鶴市部活動地域展開推進計画」に基づき、令和 8 年度 2 学期から、休日の部活動の本格展開を目指すとともに、ご家庭の事情により、子どもたちが地域クラブ活動への参加を断念することがないよう、送迎や経済的に困窮する世帯への支援等の課題を整理し、着実に取組を進めてまいります。
児童生徒の確かな学力の定着に向けた取組につきましては、GIGA スクール構想により整備した児童生徒 1 人 1 台のタブレット端末が耐用年数を迎えることから、令和 8 年度からの運用開始に向けて一斉更新を行い、高速通信ネットワーク環境と併せて効果的に利用してまいります。
また、教員への研修会や ICT 支援員によるサポートの実施など、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた教員の授業力向上に向けて更なる取組を推進し、一人ひとりの力を最大限に伸ばす質の高い授業を実施してまいります。
加えて、民間事業者と連携して作成した『GIGA ワークブックまいづる』を活用し、情報社会に必要な児童生徒の情報活用能力と情報モラル教育の充実に取り組み、子どもたちが安心して教育を受けられる環境づくりを推進してまいります。
不登校などの子どもに対する学びの保障については、学校と教育支援センター「明日葉」やフリースクール「聖母の小さな学校」との連携を図るとともに、学校と連携しながら多様な学びの機会を提供する民間事業者等のフリースクールに通う児童生徒の利用料を新たに支援し、不登校児童生徒の学びの場の確保に努めてまいります。
併せて、特別支援教育士スーパーバイザーによる支援を充実させ、児童生徒一人ひとりに寄り添いながら学校生活への復帰や社会的自立に向けた取組を支援してまいります。
いじめ対策につきましては、教育支援センター「明日葉」に併設する相談室にいじめ相談員を配置し、いじめ相談ダイヤルやメールによる相談を受け付けるとともに、児童生徒のタブレット端末から、子ども自身が直接相談できるツール「まいづるこども相談」による相談窓口を継続し、きめ細かな相談体制を確保し、子どもたちを守る取組を進めてまいります。
身体の障害の有無にかかわらず、全ての子どもが同じ教室で共に学び、互いに理解を深める共生社会の実現に向けて重要な役割を果たす「インクルーシブ教育」につきましては、令和 6 年度に、本市が府内で初めて、かつ唯一、文部科学省の「インクルーシブな学校運営モデル事業」の指定を受けました。令和 8 年度までの 3 年間の指定であり、本市と、文部科学省から委託を受けた京都府教育委員会の協働のもと、城南中学校区の小中学校と、京都府立舞鶴支援学校及び舞鶴聾学校舞鶴分校が連携しながら取組を進めているところであります。
昨年には、池内小学校・高野小学校・中筋小学校の 1 年生と舞鶴支援学校小学部の児童が一緒にさつまいもの苗植えや芋掘りを行い、お互いに収穫を喜び合うなど、幼い頃から共に学び、交流する機会を設けております。
今後も児童生徒が自ら学びに向かう力を身につけ、主体的な社会参加へつなげていくための研究事業を実施するなど、一人ひとりの能力を最大限に伸ばす「個別最適な学び」を推進し、特別支援教育の充実を図ってまいります。
子どもたちの豊かな人間性や社会性を育む取組につきましては、道徳教育や人権教育を通じて相手を思いやり、親や周りの人々に感謝する豊かな心を育むとともに、本市の特色ある歴史、文化、豊かな自然や主要産業などについて、独自の副読本や校外学習などを通して学ぶことにより、ふるさと舞鶴に誇りと愛着を持ち、将来、地域社会に貢献できる人材として成長できるよう、ふるさと学習に取り組んでまいります。
少子化の進行により児童生徒数の減少が見込まれる中、子どもたちにとって望ましい教育環境の実現を目指す「学校規模の適正化」につきましては、適正な学校規模のあり方を示すビジョンを新たに策定し、子どもたちにとって望ましい学校規模のあり方や学校再編について、保護者や地域の皆様と意見交換し共に考えながら進めてまいりたいと考えております。
次に、安全・安心な学校施設の環境整備につきましては、熱中症対策などの安全性を最優先に、老朽化対策や機能性の確保、長寿命化対策を計画的に推進してまいります。
まず、小中学校のトイレ洋式化改修につきましては、近年の生活習慣等の変化に伴い、児童生徒や保護者からのニーズの増加、また、子どもたちが安心して授業が受けられ、健康的に学校生活を過ごすことができる教育環境の向上や避難所としての機能強化を目的に、現状のトイレ環境の改善を重点事業に位置付け、本市のトイレ洋式化率 80%を目標に掲げ、令和 7 年度から 9 年度までの今後 3 年間で全国平均を上回るよう、スピード感を持って強力に推進してまいります。
令和 7 年度当初予算におきましては、中舞鶴小学校と青葉中学校の校舎トイレ改修工事設計業務と、特に洋式化率の低い大浦小学校、吉原小学校、福井小学校の 3校についてトイレ改修工事費を計上し、目標達成に向けて事業を加速化し推進してまいります。
中学校体育館への空調設備の導入につきましては、令和 7 年度は、令和 6 年度に設計を行った城南中学校と和田中学校の整備工事に着手し、省エネ化を図る体育館照明の LED 化と併せて整備を進めていくこととしております。
また、白糸中学校と城北中学校の 2 校について設計業務を行うこととしており、令和 10 年度までに全 7 中学校の整備が完了するよう着実に進めてまいります。
エレベーター設置による学校施設のバリアフリー化につきましては、まずは、バリアフリー基準に適合する拠点校として、東地区と西地区の小学校・中学校各 1 校ずつ整備する方針であり、東地区においては、倉梯小学校と白糸中学校に設置済みであることから、新たに西地区の明倫小学校に令和 7 年度からの 2 か年事業として整備してまいります。
また、学校施設の長寿命化改修につきましては、青葉中学校第一体育館の改修工事に着手し、今後30 年以上使用できるよう長寿命化するとともに、耐久性や機能性等の向上を図り、安全・安心な教育環境の確保及び質的向上を目指してまいります。
小学校プールにつきましては、建設から長い年月が経過し老朽化したことによる安全管理面や、天候や気温に左右され安定して水泳授業ができないといった課題を抱えており、プール施設の維持管理だけではなく、廃止や集約化についても検討する必要があります。
令和 7 年度は、安全・安心な水泳授業の継続に必要な施設整備やその手法及び実現可能性、水泳授業の実施方法等について技術提案を受けるため、専門的な技術及び経験を有する民間事業者に業務を委託するとともに、民間インストラクターの専門的な水泳指導が児童や教職員に与える効果の測定や、学校からの移動時における課題等を抽出するため、市内の小学校 1 校を実証モデル校に位置付け、民間施設での水泳授業を実施し、今後の水泳授業及び学校プールのあり方について検討を進めてまいります。
子どもたちにとって望ましい教育環境の実現には様々な課題がありますが、喫緊となる重要課題に専念し、機動力をもって対応するため、教育委員会においては、令和 7 年度に教育振興部内に「教育未来課」を新設し、将来を見据えた持続可能な教育環境の再構築にスピード感をもって対応し、「こどもまんなか社会」の実現を目指してまいります。
また、年々増加傾向である発達に障害のある児童生徒の個性を伸ばし、一人ひとりを大切にした学校教育を一層推進していくため、学校教育課内に特別支援教育に特化した「特別支援教育係」を新たに設置し、就学前からの早期発見・早期支援、子どもの特性に応じた保護者への進路説明や就学後の教育相談による適切な学びの支援、さらには不登校やいじめ等の未然防止等、切れ目のない支援体制の構築を図ってまいります。
次に、「共に助け合い地域が元気なまち」の実現につきましては、市民や自治会、市民活動団体などによる地域コミュニティ活動を支援し、多様な主体が連携する元気なまちづくりを推し進め、市民協働による共助の力で地域課題の解決を図れるよう取り組むとともに、市民一人ひとりがお互いの人権を尊重する地域づくりに取り組んでまいります。
「自治会活動の支援」につきましては、地域住民のつながりを強化し、住み続けたいと思える地域社会の実現に向け、地域の自助共助を支え、その基盤となる自治会活動について、魅力的で活力ある自治会活動の情報発信や元気なまちづくり事業費補助金等の活用を促進することで、自治会活動の活性化、コミュニティ活動の充実を図ります。
「地域コミュニティの形成促進」につきましては、自治会だけでなく、市民活動団体など地域に関わる多様な主体が連携し、より大きな枠組みで連携して地域課題の解決につなげていくなど、これからの地域コミュニティのあり方についての検討を進めてまいります。
また、本市のような地方都市においても、女性が活躍できる環境をつくることを目的として、デジタルマーケティング分野で活躍できるスキルの習得を目指す育成プログラムを引き続き実施します。また、女性の就労支援やキャリア形成を後押し、女性にとって魅力ある仕事づくりと経済的自立を促す取組を行うとともに、市内事業所を対象にデジタルマーケティングの重要性・有効性について理解を深めるセミナーを開催し、プログラム修了者の受け皿となる事業所を開拓することで、市内でのデジタル人材の定着を図ってまいります。
SDGs の目標の 1 つであるジェンダー平等の実現につきましては、男女共同参画センター「フレアス舞鶴」を拠点として、幼少期からの意識醸成に取り組むとともに、「舞鶴市男女共同参画計画(まいプラン)」に基づき、様々な意識啓発事業に取り組み、多様な生き方が選択できる暮らしやすいまちづくりの実現を目指し、取組を進めてまいります。
また、「マザーズジョブカフェ推進事業」として、セミナーやワークショップといった啓発事業に加え、子どもの短時間一時預かりや、施設の一部をコワーキングスペースとしての活用することにより、子育て中の女性の就労に向けたリスキリングやリモートワークの時間確保といった支援を実施してまいります。
次に、「このまちに魅かれ移り住みたくなるまち」の取組についてであります。
移住・定住の促進につきましては、ライフスタイルの多様化により、地方移住への関心が高まっている中、地域の豊かな自然や歴史・文化、魅力ある働く場、充実した子育て環境など、本市の有益な情報を発信することで、次世代を担う若者や子育て世代に対して積極的にアプローチするとともに、移住者を受け入れていただく地域の皆様や地域おこし協力隊員との連携により、移住者から選ばれるまちを目指して、移住希望者に寄り添った円滑な移住を促進してまいります。
また、少子高齢化・人口減少が進む中で、まちの誇りや愛着、そして地域社会に貢献する意識を醸成することは、定住率の向上や新たな住民を惹きつける重要な要素であることから、市内外を問わず、舞鶴に関心がある人たちが、本市の魅力を広く発信し、シビック・プライドや郷土愛の醸成につながるアイデアを実現できる機会を創出することにより、新たな「舞鶴ファン」を生み育て、地域の魅力向上につながるよう取り組んでまいります。
ふるさと納税につきましては、地場産品を通じて、本市のまちづくりや魅力に関心を寄せていただくきっかけになるものであり、引き続き、返礼品として取り扱う地場産品のブランド力向上と市内事業者の販路拡大、市場の拡大を見据えた生産力の強化等、地域経済の活性化につながる戦略的なマーケティングを一層推進するため、都市部に所在し即戦力となる企業の社員を「地域活性化起業人」として本市に受け入れ、地場産品の振興やブランディングの強化を図ってまいります。
また、ふるさと納税の市場拡大に伴う将来的な需要を見据え、WEB サイトにおける地場産品の魅せ方を工夫・改善するとともに、都市部で開催されるPRイベントに参加し、WEB とリアルの両面における情報発信力を強化してまいります。
さらには、本市の地域資源を生かした新たな価値を創出し、まちの「変化」を生み出していくには、本市や市内で活躍する事業者の取組に共感してもらえるステークホルダーとの連携も必要であると考えております。
令和 7 年度も、引き続き、関西経済連合会と連携する中で、都市部の企業や研究機関等に参加いただく「自治体ピッチ・交流会」を開催し、本市の強みやまちづくりへの思い、市内事業者の取組などを伝え、共感していただいた都市部のステークホルダーを本市に呼び込む交流型体験ツアーを新たに実施してまいります。
次に、「豊かな自然環境を守り育むまち」の実現に向けた取組についてであります。
美しく豊かな舞鶴の里山や海を次世代に引き継ぐため、地球温暖化対策をはじめ、環境への負荷低減、生物多様性の確保など、環境に優しい持続可能なまちづくりに、市民、事業者とともに取り組んでまいります。
再生可能エネルギーの導入の取組につきましては、公共施設における脱炭素化の推進とエネルギー自給率の向上、災害発生時における避難所としての防災機能の向上を図るため、西消防署庁舎に太陽光発電設備を導入し、エネルギー構造の高度化に向けた理解促進と防災対応力の強化を図ってまいります。
また、国が示す「第 6 次環境基本計画」、「第 7 次エネルギー基本計画」、「GX2040ビジョン」を踏まえ、再生可能エネルギーの導入に向け官民一体となって取り組むためのビジョン「舞鶴市エネルギー・環境基本計画」の策定に向け取り組んでまいります。
廃棄物の減量・資源化、適正処理につきましては、稼働から26年が経過し、主要設備の老朽化が進むリサイクルプラザの長寿命化工事を実施するため、令和12年度の完成を目指し実施設計を行います。
併せて、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づき、「製品プラスチック」の資源化に向けて、収集や処理方法等の検討を行い、資源化率の向上と最終処分量の削減による最終処分場の長寿命化につなげてまいります。
次に 2 つ目の柱、「安全で安心なまちづくり」についてであります。
令和 6 年 1 月に発生した能登半島地震では、道路が寸断され、救助作業や救援物資の輸送も難航しました。この地震災害は、半島特有の地形や、沿岸部と山間部が入り組む地形的要因により、道路網が脆弱である地域において、特に被害が拡大しやすいことを示しました。
本市におきましても、山間部に多数の集落が点在しており、地震災害の発生時には、道路の寸断により孤立する危険性が高いことから、災害への備えの充実を図るとともに、誰一人取り残すことなく、必要な支援が適時に届けられるよう地域防災力の強化に努めることの必要性を強く感じたところであります。
頻発化・激甚化する災害による被害を軽減させるため、防災施設や、浸水対策、河川整備等、各種インフラの整備・充実を図るとともに、市民の財産と安全で安心な暮らしを確保し、防災・減災に向けた取組を進め、災害に強いまちづくりの実現を図ります。
また、「安全で安心なまちづくり」の推進には、多様な主体の協働による地域共生社会の実現が不可欠です。普段からの地域づくりの取組を生かし、世代や分野を超えた多様な主体が交流し、誰もが生きがいと役割を持ち、住み慣れた地域でいきいきと健康に、そして安心して暮らせるよう取り組んでまいります。
こうした「安全で安心なまちづくり」を更に推進し、「未来に希望が持てる活力あるまち」を実現してまいります。
まず、「防災・減災対策の強化」の取組についてでありますが、近年、自然災害や危機事象、複合災害などが多発しており、その影響は甚大です。
あらゆる危機事象を想定し、孤立する恐れの高い地域に対し、陸路や海路での避難に加え、空路による避難路を確保し、ヘリコプターでの住民避難や物資輸送を実現するため、田井地区の放射線防護対策施設の隣接地に、新たにヘリコプター臨時着陸場を整備することとし、令和 7 年度に測量・設計を実施いたします。
整備後においては、災害や危機事象発生時における孤立解消に役立つことはもちろん、平時においてもドクターヘリなどによる急患輸送に活用することで、地域住民の安心につなげてまいります。
また、能登半島地震を受け、京都府に対しまして、府が広域防災拠点に指定する京都舞鶴港の機能強化について要望してきたところであります。今般、京都府の令和 7 年度当初予算に、京都舞鶴港でのヘリポートの整備について予算計上いただいたところであり、京都府と連携し、空路による救助や支援物資輸送の体制強化を更に推進いたします。
加えて、複合災害時、孤立のおそれのある地域の避難路を確保するため、市道西方寺平線と別所岸谷線等の法面対策等の整備を進め、避難の円滑化を図ってまいります。
次に、豪雨や高潮などによる浸水被害が多発する東西市街地において、国・京都府と連携を図りながら、防災・減災事業を推進してまいります。
西市街地におきましては、高野川流域の堀上橋から下流部にかけて 5 か所のポンプ場を整備する計画としており、整備が完了した大手・竹屋両ポンプ場に加え、新たに寺内・松陰両ポンプ場の調査・設計を行い、京都府の護岸拡幅事業の進捗に合わせて整備を進め、東市街地では、排水施設の設置と道路嵩上げ事業により、高潮による道路冠水を減少させ、浸水被害の軽減と安全な通行を確保してまいります。
また、能登半島地震の影響等による市民の耐震化に対する意識の高まりを受け、民間建築物の防災・減災に係る取組として、木造住宅の耐震化をより一層促進するとともに、土砂災害特別警戒区域等における住宅の土砂災害対策改修や住宅移転等の支援を行うことにより、建築物の安全性の向上を図ります。
農山漁村地域につきましては、豪雨等によるため池の「破堤」などを未然に防止するため、農業用ため池の防災対策を推進いたします。また、荒廃した森林及び渓流の「再度災害」を防止するため、森林整備や治山施設整備を実施してまいります。
加えて、台風や冬季の波浪がもたらす高潮や高波による浸食から沿岸部に居住する市民の生命・財産を守るため、竜宮浜地区において海岸保全施設を整備し、地域の安全で安心な暮らしを確保いたします。
水道事業につきましては、災害に強い安定した水の供給を図るため、本市の主な水源である由良川の塩水遡上対策として、取水口上流移転に向け詳細設計を行います。また、物価高騰の影響を受けた市民や事業者を支援するため、本市では初めて、全世帯・全民間事業所を対象に水道料金の基本料金を 2 か月分減免いたします。
また、下水道事業につきましては、先日、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故では、下水道管の破損が原因とみられております。このことから、本市としましては、引き続き、テレビカメラによる点検調査や管路施設の清掃等を定期的に実施し、安定した下水道機能の維持に取り組んでまいりますとともに、施設の耐震化に係る調査設計を行い、下水道施設の防災・減災対策を進めてまいります。
消防力強化の取組につきましては、令和 7 年度末に完成予定の西消防署庁舎の整備を進め、地震や台風に対応できる高度な防災機能を有した災害防災拠点施設に生まれ変わることで、災害対応能力の更なる向上を図ります。
また、老朽化した消防ポンプ自動車や消防団車両を計画的に更新し、様々な災害に迅速的確に対応できる消防力を強化し災害現場活動の更なる充実を図ってまいります。
次に「地域医療の確保」の取組についてであります。
「舞鶴の医療問題は府立医大としても最重要課題。分散している医療資源は集中しなければならない。」これは、去る 1 月 26 日、舞鶴市商工観光センターで行った地域医療シンポジウムで、基調講演いただいた京都府立医科大学の夜久均学長が述べられた一言です。
夜久学長からは、人口減少と少子高齢化の進展により、医療需要や疾病構造の変化が生じ、患者の状態に応じて、適切で良質な医療サービスが受けられる体制が今後求められること、また、本市の急性期病床が過剰であることに加え、さらに 3 病院に分散している現状を克服するには、病院の集約化が必要であることを 261 名の来場者に伝えられました。
4 つの公的病院が所在する本市では、非効率な医師の配置など、非効率な医療資源の活用が、各病院における医師・看護師をはじめとする人材不足、脆弱な救急医療体制の一因になっていることは今や言うまでもありません。さらには病床稼働率も低迷し、各病院とも厳しい経営状況にあります。
病院の集約化、すなわち公的病院の再編・統合については、舞鶴市医療機能最適化検討会議においても、その必要性を確認し、今後目指すべき医療提供体制として、具体的に 5 つの再編・統合パターンを抽出しました。5 つのパターンに至った経過を説明し、市民や関係者の意見をお聞きするため、
昨年 12 月に、東西 2 か所で市民の皆様を対象にした「これからの医療提供体制に関する住民との意見交換会」を開催し、また、それぞれの公的病院で、病院職員を対象にした「病院職員説明会」を行いました。
市民の皆様との意見交換会では 109 名に、職員説明会では 247 名の職員に参加いただき、舞鶴市内でほとんどの医療を受けたい市民の思い、自身の雇用を懸念しつつも早期の再編・統合を求める病院職員の思いなど、会場で寄せられた意見やアンケートの結果からも、最適化検討会議の考えには、多くの方から期待が寄せられております。
この経過を踏まえて実施した地域医療シンポジウムにおきましても、夜久学長の基調講演や、私や医師会長、病院長、大学教授が登壇したセッション等をお聴きになった来場者のアンケート結果から、約 9 割の方が、検討会議で示した方向性に理解を示していただいたところであります。
今年度の取組を踏まえ、最適化検討会議としてはこの方向で検討を進めていくこととして結論付け、去る 2 月 21 日には、私と 4 病院長とで「持続可能な医療提供体制の実現に向けた協議開始に係る基本合意書」を締結したところであり、今後は公的病院の再編・統合を視野にいれた詳細シミュレーションを実施し、どの法人が、どこで、どの機能を担うのか、具体的な検討を進めてまいります。
設置母体が異なる公的病院が複数所在する本市において、利害が伴う病院間の合意形成は大変な困難さがあります。市といたしましては、安全・安心な医療提供体制を築き、次世代へ繋いでいくため、公的病院や関係機関との密な連携のもと、未来に責任ある決意をもって最適な形態を見出していく所存であります。
次に「みんなでつくる健康なまち」の取組についてであります。
人生 100 年時代を迎え、社会が多様化していく中で、生涯にわたり健やかで心豊かな毎日を過ごすことは、誰もが望む共通の願いです。
近年、少子高齢化の進展や価値観・ライフスタイルの多様化により、社会環境が大きく変化し、がんや心臓病などの循環器疾患などの生活習慣病の発症に加え、要介護者の増加、社会的ストレスの増大など、新たな健康課題がみられます。
このような中、本市では、従来から実施している特定健診やがん検診の受診率向上に取り組むとともに、国内において男性の罹患数第 1 位である前立腺がんに対して、全国でも稀に見る取組として、年齢階層別の基準値を用いた「前立腺がん検診」を新たに実施し、がんの早期発見・早期治療を促進し、進行がんの発症やがんによる死亡率の減少を図ります。
また、高齢期に罹患率が高まる「帯状疱疹」については、発病予防と罹患後の重症化予防を目的とした新たな取組として、65 歳以上の方を対象に定期接種を開始いたします。
個人の健康づくりは、職場や地域コミュニティなど社会環境に影響を受けることから、職場対抗ウォーキングや食生活改善に向けた食のモニタリング事業の実施など、「健康経営」に取り組む企業等を積極的に支援いたします。
さらに、市民の健康づくりを応援する企業・団体が、市と連携して主体的に健康づくり事業を展開する「まいづる健やかプロジェクト」において、市民を対象としたウォーキング事業や各種健康セミナーの開催、がん検診の受診勧奨などの取組を拡充し、社会全体で市民の健康づくりを支援する環境整備を推進いたします。
こうした取組を通じ、健診の受診や生活習慣の改善など個人の主体的な取組に加え、行政や地域、企業等の関係団体が連携し、社会全体で市民の健康づくりを支える基盤整備を行い、市民の健康寿命の延伸を目指してまいります。
次に、「安心して暮らせる支え合いのまち」の取組につきましては、社会構造や、個人のライフスタイルの変化、それに伴う地域の共同体の変化などにより、制度や分野にまたがる複雑化・複合化した課題や、制度の狭間にある方への支援など、課題は多様なものとなっております。
従来の縦割り型の支援では十分な対応が難しくなっている中、地域全体で課題を共有し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、一人ひとりの暮らしや、生きがい、地域を共に創っていく「地域共生社会」の実現が求められています。
高齢、障害、子ども、生活困窮などの分野を超えて、複雑化・複合化する課題に対応するため、これからの地域福祉の基盤となる「重層的支援体制」の整備を進め、支援を必要としている人に対し、必要な支援を適時届けられるよう、相談支援機関、地域住民、行政等が連携して取り組むことのできる体制を構築し、誰もが役割を持ち、住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指してまいります。
この重層的支援体制整備事業は、令和 7 年度から本格実施へ移行し、令和 5 年度から先行実施している「多機関協働事業」に加え、新たに「参加支援事業」や「アウトリーチ支援事業」を実施するほか、既存の「包括的相談支援事業」と「地域づくり事業」を合わせた一体的な支援を展開するための実施計画を策定し、多様なニーズに対応できる包括的な支援体制を整備いたします。
また、高齢者が可能な限り住み慣れた自宅で、人生の最後まで自分らしい暮らしを続けるためには、かかりつけの在宅医を中心とした支援体制づくりが不可欠であります。
現在、市内にかかりつけ医に関する相談の窓口がないことから、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に相談が寄せられていますが、往診や医療的ケア、在宅看取り等の対応可能な医療機関の調整は困難であり、業務負担となっております。
このため、新たに、舞鶴医師会内に「かかりつけ医相談窓口」を設置し、医療的ケアや看取りの対応ができる医療機関の情報を集約するとともに、相談者と医療機関をマッチングし、切れ目のない在宅医療と介護の連携体制を構築いたします。
第3に、「魅力あるまちづくり」についてであります。
本市が誇る地域資源である「海・港」を活かした産業振興、人流・物流の拡大はもとより、既存商工業基盤の振興、農林水産業の高付加価値化、ブランド化を目指し、地域経済の活性化を推し進め、若者が仕事を見つけ、住み続けたい、一旦離れても戻って来たいと思える魅力あるまちづくりを推し進めます。
まず、「海・港を活かした魅力あふれるまち」を目指す取組についてでありますが、京都舞鶴港は、我が国の国防、海の安全、エネルギー、ものづくり、観光拠点としての機能はもとより、災害に強い特性を生かし、先般の能登半島地震においても海上自衛隊や海上保安庁などが支援拠点の機能を果たしたように、大規模災害発生時に備えたリダンダンシー機能を併せ持つ極めて重要な使命と役割を担う港であります。
総事業費71億円をかけた国による2バース目の整備、京都府によるⅡ期整備の事業進捗と機能強化が進む舞鶴国際埠頭をはじめとする「みなと」を最大限に活用するため、貨物量の増加、フェリー航路の更なる活性化、クルーズ船誘致、賑わい創出など、あらゆる面から京都舞鶴港の振興を図ってまいります。
コンテナ取扱貨物は、コロナ禍に起因する世界的な物流混乱等により減少傾向にありましたが、令和5年実績では前年を上回る取扱量となりました。この上昇に転じつつあるタイミングをチャンスと捉え、また、物流の2024年問題の到来に対応して、陸上から海上輸送への利用転換を検討する企業の増加を想定した戦略的なポートセールスを展開してまいります。
また、令和5年は国際クルーズの運航が再開し、計10回の寄港受入がありました。令和6年も同程度の入港が見込まれる中、京都の海からお客様をお迎えできる「港まちの強み」を生かし、地域特性に応じた多様なクルーズ寄港を促進し、インバウンド観光などによる地域への経済効果の波及や、交流機会の創出など多様な好循環を生み出すとともに、2025年大阪・関西万博の開催による関西圏への来訪者の増加を見据え、日本と韓国とを結ぶフェリー・クルーズの寄港誘致により、舞鶴から万博への人流ルートの開拓を目指してまいります。
国際交流の推進に向けた取組では、先般、姉妹都市提携25周年の節目を迎えた英国ポーツマス市を訪問し、コロナ禍で休止していた次代を担う青少年の相互交流の再開を確実にするとともに、両市の共通点である赤れんがをはじめとする歴史的な遺産を核としたまちづくり等について、今後の交流の拡大を見出したところであります。こうした状況を踏まえ、令和6年度を国際交流の本格再開の年と位置付け、中国大連市など、他の姉妹・友好都市とも青少年交流をはじめとする市民・文化交流を活性化してまいります。
また、戦後のシベリア抑留と引き揚げの縁から芽生えたウズベキスタン共和国とは、2020東京五輪ホストタウン交流を通じて強固な信頼関係を築き、リシタン地方との間でスタートした人材育成の交流には、コロナ禍の影響も残る中、近畿能開大京都校において、令和4年から2年連続で産業技術を学ぶ留学生を3名ずつ受け入れ、今年3月には第1期生が卒業し、来る4月からは市内事業所での就労が予定されております。介護分野における人材育成の検討も行っており、今後とも、両地域の発展に貢献できる優秀な人材を、関係機関の協力を得ながら育成するとともに、舞鶴市とウズベキスタンとのこうした交流をさらに多くの市民の皆様にもご理解いただくため、ウズベキスタンから招いた人材を引き続き国際交流員として配置します。
次に、観光まちづくり推進の取組につきましては、観光交流拠点である「舞鶴赤れんがパーク」において、「日本遺産」や「日本の20世紀遺産20選」などのブランド価値を最大限に生かしながら、近代化遺産をはじめとする海軍ゆかりの建物や食文化など観光資源をつなぐことで、来訪者の市内周遊を促進してまいります。
また、防衛省の「まちづくり支援事業」を最大限に活用し、令和元年度から整備を進めている「赤れんが周辺等まちづくり事業」では、隣接する海上自衛隊施設との連携を図りながら、本市の豊かな自然と歴史・文化を次世代へ継承し発展させる拠点とするため、令和6年度に、親水性の高い海側導線の整備や遊歩道の整備を行います。
我が国の近代化を象徴する国指定重要文化財である文部科学省所管の赤れんが倉庫群3棟につきましては、貴重な文化財を将来に引き継ぐため、令和7年度からの耐震・保存修理工事の開始に向け、引き続き、調査及び耐震・修理の実施設計を進めます。
また、文化庁の「100年フード」に認定されている肉じゃがやカレーに代表される「海軍ゆかりの食文化」を全国に発信する「旧軍港四市グルメ交流会」を平成27年以来9年ぶりに本市で開催するなど、引き続き赤れんがパーク全体の更なる賑わいの創出と、市民の郷土愛の醸成につなげてまいります。
そのほか、細川幽斎公が築いた城下町の歴史や文化を生かした「城下町エリアみなとオアシス推進事業」や、豊かな自然環境を生かした海浜エリアの魅力向上を進めていくほか、北陸新幹線敦賀開業や、令和7年度の大阪・関西万博をチャンスと捉えて、高浜町をはじめとする福井県嶺南地域と連携した青葉山エリアの観光コンテンツ開発など、市域を越えた広域連携により、エリアブランディングに取り組んでまいります。
また、ふるさと納税制度と移住定住促進施策を担う「ふるさと応援課」を新たに設置し、本市の魅力を全国に向けて強力に発信するとともに、まちづくりや農産物、海産物等の地場産品に関心を寄せていただくため、ふるさと納税制度を通じた取組を強化してまいります。令和6年度は、歳入予算5億円を確保する中、更なる増額を目指し、返礼品の開発や供給量の拡大、舞鶴を訪れていただけるような体験型の返礼品の充実により、新たな寄附者はもとよりリピーターが得られるよう取組を進めます。併せて、専門人材による戦略的なマーケティングやプロモーションを実施し、世代等に応じたトレンドやニーズの把握、舞鶴産品の一体的なPRによる商品の認知度向上、ブランド化の推進に覚悟を持って取り組んでまいります。
次に、「地域産業が元気で、いきいきと働けるまち」の取組につきまして、農林水産業の持続的発展に向け、営農労力の省力化や効率化に向けたほ場整備や、漁港施設の機能強化を図ります。また、万願寺甘とうや舞鶴茶、舞鶴かに、京鰆、丹後とりがいなど付加価値の高い特産品のブランド力を一段と強化するとともに、デジタル技術を活用したスマート農業・漁業に取り組むことで、舞鶴の環境に応じた次世代型農林水産業の実現を目指します。
農業の振興においては、農業者の高齢化や担い手不足により遊休農地・荒廃農地が増加する中、多面的機能支払交付金等を活用し農業集落の活動を支援するとともに、「地域計画」の策定のための話し合いを通じ、地域で守るべき農地を明確化し、新たな担い手への農地集積を促進することで、担い手不足の解消を目指します。さらに、新たに、農業機械の導入支援補助事業を行い、担い手農家の農業経営の維持、規模拡大を図ってまいります。
林業の振興においては、森林環境税の徴収がスタートすることや、昨今の大雨災害等に伴う森林整備の重要性に鑑み、森林経営管理制度につながる境界明確化事業をさらに推し進めるとともに、放置竹林への対策など、地域による森林整備活動を支援することにより、森林環境の保全・森林資源の活用を促進してまいります。
水産業の振興においては、京都府「海の民学舎」の運営に参画し、市内における漁業就業及び定住を支援するとともに、小中学校等において水産業の魅力を伝える出前授業等をとおして、次世代の担い手育成に取り組んでまいります。
また、これらの取組を積極的かつ機動的に推し進めるため、「農林水産振興課」を「農林課」「水産課」「農林水産基盤整備課」に改め、農林水産業者にしっかりと寄り添った施策の展開を図ってまいります。
次に、商工業の振興につきましては、地域経済は、昨今のエネルギーや資材価格等の高騰、人口減少社会における人材確保等、新型コロナ以降の新たな課題に直面しており、AIをはじめとした技術革新やデジタル化による生産性の向上等、新しい時代に適応するそれぞれの地域特性に合った産業構造を築き上げていくことが求められていることを踏まえ、企業の投資等に対する支援や多様なニーズに細やかに対応することなどにより、新規企業誘致とともに、既存の市内立地企業の支援に取り組みます。
また、舞鶴商工会議所をはじめ、金融機関や、国・京都府等の支援機関との強固な連携のもと、それぞれが有するノウハウやネットワーク、支援策を効果的に提供しながら伴走支援を行う「産業振興プラットフォーム」の構築を図り、多様化する企業ニーズにスピード感をもって対応してまいります。
さらに、高校生や都市部で生活する舞鶴出身者等に、独自の技術やサービスなど魅力的な舞鶴の仕事現場を公開する「まいづるグッドカンパニー情報発信事業」などをはじめ、合同就職説明会やインターンシップイベント、SNSを活用した情報発信や採用力向上セミナーなどの取組、京都労働局やリクルート社との連携など、昨年、新たに種をまいた取組を発展させ、地元への愛着の醸成や、地元で働くことを考える機会の創出、地元事業者が求める人材の確保など、多様な「つながり」を生かした事業を矢継ぎ早に展開し、地元就職、UIターン就職を積極的に推進してまいります。
次に、「生涯を通じて健幸で文化的なまち」を目指す取組につきましては、まず「舞鶴市文化財保存活用地域計画」に基づき、歴史文化遺産の価値を掘り起こし、次世代へ継承するため、市民の皆様や関係団体等と連携しながら、歴史文化の魅力を生かしたまちづくりを推進します。
舞鶴引揚記念館につきましては、「引き揚げ」、「シベリア抑留」の史実の継承と平和への願いを広く発信する拠点としての役割を果たすため、施設の機能を有効に活用した展示及び運営の充実を図るとともに、令和7年には、戦後80年、海外引揚開始80年、ユネスコ世界記憶遺産登録10周年の大きな節目の年を迎えることから、国内外の関係機関との交流やネットワーク構築に向けた取組を積極的に展開し、ユネスコ世界記憶遺産登録資料を所蔵しているという国際的な価値を高めることで、来館者の増加につなげます。
また、地域や学校等と協働した学生や若者による史実の継承活動は、先進的な事業として評価されていることから、更なる活躍の場を創出し「次世代への継承から次世代による継承」の取組を進めてまいります。
本市が誇る歴史的風景の一つで、漁師町としてかつての面影を残す吉原地区については、景観を保全し、地域住民とともに景観を生かしたまちづくりを推進するため、国による重要伝統的建造物群保存地区への選定を目指した準備を地元の皆様と連携しながら進めてまいります。
さらに、歴史的資料等を整理・保存し、後世に継承するとともに、地域への愛着やふるさと愛を醸成するため、市史の編さん実施計画に基づき、編さんに向けた取組を進めます。また、市内に現存する近代化遺産を適切に保存し、次世代へ継承するため、令和6年度は、有識者で構成する近代化遺産保存審議会を設置するとともに、文化振興課内に「近代化遺産係」を新たに設置し、近代化遺産を保存するための指針となる近代化遺産保存計画の策定を進めてまいります。
スポーツの振興につきましては、スポーツが有する多面的な価値を活用した元気なまちづくりに向けて、地域活性化に資する各種大会の開催支援やスポーツイベントの開催等に加え、選手のみならず指導者にスポットライトをあて、敬意を払うことを目的に、地域の指導者を対象とする表彰制度の新設や研修機会の充実を図るとともに、各スポーツ施設の老朽化への対応、高機能化に係る整備、改修を行うことで、誰もがスポーツを楽しめる環境整備にもしっかりと取り組みます。
中央図書館の整備と図書館機能の再編につきましては、「舞鶴市図書館基本計画」に掲げる3つの基本方針、「課題解決型図書館への脱皮」、「子どもたちや社会的弱者など、あらゆる市民に対するサービスの展開」、「全市域へのサービス網の構築」に基づき、令和5年度から開始している市民とのワークショップに基本設計業務を受託する事業者にも参加いただき、図書館再編を市民の皆様とより具現化していくとともに、南・中・加佐分館での図書館司書によるイベントの開催や本の巡回、東西図書館の図書を分館で返却できるようにするなど、分館機能の強化とネットワークの充実に向けた事業に取り組んでまいります。
次に、「コンパクトシティの推進」の取組につきましては、まちづくりの基盤となる都市計画について、人口減少下においても元気で活力あるまちにしていくため、駅を中心とした効率的で利便性の高いコンパクトシティ+ネットワークの形成を図るとともに、東西地区それぞれがもつ歴史や個性、資産を生かしたまちづくりの実現に向け、舞鶴市立地適正化計画により、駅を中心とした地域への都市機能や居住の誘導を図る施策の検討、現在の建物の状況や土地利用の状況など、都市計画の基礎となるデータの調査、個々の土地の境界や面積などを明確にするための地籍調査に取り組みます。
道路網の整備促進につきましては、西市街地の交通混雑の解消と交通安全性の確保等につなげる国道27号西舞鶴道路では、上安久連続高架橋の上部工等の工事が引き続き進められております。また舞鶴国際埠頭から国道27号西舞鶴道路へのアクセス道路となる臨港道路上安久線におきましても高架橋の上部工の工事や用地買収が引き続き進められており、これらの道路が完成しますと、舞鶴国際埠頭から舞鶴西インターチェンジへのアクセスの向上にも寄与するものとなります。
また、府道小倉西舞鶴線については、東西市街地の一体化による活力あるまちづくりに向け、白鳥トンネル工区においては、貫通した新トンネルの供用に向けて工事が進められ、また倉谷工区では電線地中化工事や4車線化工事が進められており、道路ネットワークの早期完成を目指し、引き続き国土交通省や京都府と連携して整備を促進してまいります。
さらに、舞鶴若狭自動車道については、企業活動や地域間交流、観光振興など人流・物流による更なる地域の活性化を図るため、舞鶴パーキングエリアから東側の4車線化、三国岳トンネル工事に着手されており、引き続き舞鶴西インターチェンジ以東の全線4車線化に向けて働きかけてまいります。
通勤や通学、通院や買物といった市民生活を支える公共交通につきましては、人口減少や少子高齢化、交通人材の不足が進む中にあっても、市民の皆様の移動手段の確保のためしっかりと維持・確保していく必要があります。利用促進につなげる事業を実施するとともに、タクシードライバーの不足や夜間の公共交通の確保といった喫緊の課題に対して、交通事業者とよく相談しながら限りある交通資源を有効活用する取組を進めるとともに、「自治体ライドシェア」といった新たな制度の導入も視野に入れた検討を進め、公共交通を将来にわたり維持し活用することを目指してまいります。
また、高野地域で実施している住民同士の送迎サービス「meemo」につきましては、令和6年4月から地域住民で組織する「高野地域協議会」が運営主体となり、自家用有償旅客運送制度を活用して自立した運営を目指されます。地域住民自らが運営する新たな「meemo」の取組を、地域に寄り添いながら支援することで、タクシーをはじめとした公共交通を補完しながら、持続可能な地域の移動手段として定着させることを目指すとともに、「地域の足を確保する」先進的な事例として、全国に発信してまいります。
最後に、4 つ目の柱となる「市政運営の基本姿勢」についてであります。
私は常々「地域の課題は市民の声の中にある」と市民、職員にもこの考えを発信し続けており、市民の皆様と共に政策を考え、立案・実行できる職員を育成していきたいと考えております。
そのためには、まず、職員のワークライフバランスが保たれ、やり甲斐をもって働くことができる、魅力ある職場づくりを実現することが重要だと考えており、「日本一働きやすい市役所」を掲げ、質の高い行政サービスの提供に繋げてまいりたいと考えております。
具体的には、令和 7 年 2 月から、カスタマーハラスメント対策、時差出勤制度の導入、メンタルヘルス対策などの働き方改革を開始したところであります。
さらに 4 月からは、業務時間外の電話自動音声応答を導入するとともに、更なるカスタマーハラスメント対策として、外線電話の録音や防犯カメラを設置いたします。
また、現地・現場で気軽に市民の方と議論ができ、事務を迅速に進めることができる事務環境の改善を目的にクラウドシステムとモバイル端末を導入することで、場所に捉われず業務を行うことができる環境を整備しました。これは、単に道具を変えることではなく、職員の働き方を変えることが目的であり、職員一人ひとりの意識を変えていきたいと考えております。
令和 7 年度においては、これらの働き方改革を更に推進していくことで、プライベートの時間に自学や地域活動に取り組みやすいよう支援することにより、市民と向き合う機会を増やすとともに、職員の育成やモチベーションの向上を図ってまいります。
また、KDDI 株式会社や TOPPAN 株式会社などの民間企業と連携を図ることにより、先進的な分野をはじめとする多様なデジタル・業務改善などの技術やノウハウを得て、民間ならではのスキルを様々な業務に反映するとともに、そこに携わる職員の能力開発へつなげてまいります。
そのほか、職員採用の強化を図るため、舞鶴市役所を働く場所として選んでいただけるよう、職員がいきいきと働いている姿を、SNS などで積極的に発信するとともに、これまで 4 月のみとしていた職員採用を 10 月にも行うことで、民間経験者を含めた幅広い経験豊富な人材を確保してまいります。併せて、人材確保と人材育成に関して、総合的な対策についてさらに議論を進めるため、外部有識者で構成する懇話会を設置し、職員の人材育成、キャリア形成等に資する新たな人事政策の実現を目指してまいります。
また、持続可能な公共施設の管理・運営を進めるため、まずは市民の皆様に公共施設の現状を理解いただけるよう積極的に情報を公開し、公共施設のあり方について市民と対話する場を設けることとし、令和 6 年度から加佐地域公共施設まちづくりワークショップを開催したところであり、今後は、他の地域でも公共施設について市民と対話する機会を創出してまいりたいと考えております。
そのうえで、住民サービスの向上と効率的な施設運営を目的とするファシリティマネジメントの考え方のもと、市が所有する公共施設全体を一元的に管理し、現行の再生基本計画、再生実施計画の検証・見直しを実施いたします。また、施設運営の見える化、包括管理を行うことで施設の効率的な運営を行うとともに、官民連携による未利用資産の活用などにより、施設の有効利用を図ってまいります。
これらの取組を行うことで、今後一斉に更新時期を迎える既存施設の持続可能な管理・運営を行ってまいります。
市民サービスの向上と債権管理の適正化に向けた取組につきましては、窓口機能の改善を図るため、市税や保険料などの収納窓口を市民にわかりやすく集約するとともに、債権管理のノウハウや技術の蓄積と業務の適正化を図り、収納及び債権管理業務の企画調整を推進していくため、収納推進課を新設します。
広報活動につきましては、私が就任して以降、郷土愛の醸成や透明性のある市役所づくりのため、情報発信を強化しており、市長定例会見の動画公開や公式Facebook、Instagram、X など、積極的に SNS を活用しているところであります。
その考えのもと、「伝えたい情報が伝わる広報」「知りたい情報を伝えられる広報」を目指し、広報分野の専門知識や経験を持つ企業を活用し、ターゲットや内容、タイミングを意識しながら様々なツールの特徴を活かした情報発信を行ってまいります。
さらに、令和 7 年度からは、様々な分野で活躍する舞鶴市ゆかりの著名人を「まいづる親善大使」として任命し、舞鶴市の魅力・情報の発信や、本市が実施する事業に連携いただくなど、市政推進にご協力いただくことにより、舞鶴市の知名度やイメージの向上、交流人口・関係人口の拡大につなげてまいります。さらには、その内容を市民が見聞きすることにより、市民の舞鶴への誇りや愛着を醸成いたします。
令和 7 年度の後半からは、令和 9 年度からスタートする次期総合計画の策定に向けた議論を開始いたしますが、その前に、日本全体の人口減少が避けられない中、人口減少が深刻化し、高齢者人口がピークを迎えるとされる 2040 年を見据えながら、人口規模が縮小しても地域活力を維持・発展させるための本市の目指すべき姿や、集中して取り組むべき施策の方向性等を中長期的な視点でとりまとめてまいりたいと考えております。
その上で、市民アンケートや、総合計画審議会、市民や関係団体を交えたワークショップを実施し、「地域の課題は市民の声の中にある」との考えのもと、市民の皆様との対話を重ねることにより、市民の意見を反映した次期総合計画の策定に向けた議論を進めてまいります。
また、本市が目指すべきまちづくりの方向性を議論しながら、同時に、まちづくりにおける市民の役割や、市民のまちづくりへの積極的な参画についても考えていただくきっかけとし、人口減少が進み、地域の担い手が減少する中にあっても、地域の担い手が様々な形で成長を遂げることにより、地域が一丸となってまちづくりを進めていく機運を醸成し、持続可能な地域を目指してまいりたいと考えております。
この 2 年間、私は、課題は現場にあると考え、小学生から高齢者まで幅広い年代の市民の皆様にご参加いただく中で、市政に対する意見や、まちに対する思いなど、様々な声をお聞きしながら市政を推進してまいりました。
この姿勢は、これからも変わることはありません。市民と思いを共有し、市民の皆様とともに未来の舞鶴について考え、共にまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
私は、この地域で生まれ、育ち、学び、働き、そして未来に希望がもてると感じてもらえるまちづくりと併せ、性別や国籍、障害の有無にかかわらず、誰もが安心して暮らし、自分らしく輝ける社会づくりを進めることが必要と考えており、多様性に対する理解と認識を広げる取組を推進するとともに、地方都市における女性活躍の環境整備のため、男女共同参画の意識醸成を図り、男女がお互いに対する理解を深め、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めてまいりたいと考えています。
また、外国人住民が日常生活を円滑に送るために必要な日本語学習を支援するとともに、公民館や社会教育施設を活用して、地域住民と外国人住民がともに学び交流できる機会や場を提供するなど、外国人とのコミュニケーション能力の向上と地域交流の促進を図ってまいります。
加えて、人口減少社会において、人材確保が地域産業の発展に多くの大きな課題となる中、性別や年齢、国籍、キャリア等の異なる多様な人材が、安心して働ける環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
冒頭にも申し上げましたが、わが国全体が、人口・生産年齢人口の減少といった大きな課題に直面しております。
今、改めて「地方創生」に注目が集まり、我々、地方における取組への期待が高まっております。
求められていることは、まさに「未来に希望がもてる活力あるまち・舞鶴」の実現です。まずは、我々ひとりひとりが、もっともっと舞鶴に愛着を持ちましょう。そして、我々ひとりひとりが意識・行動を変えることで、大きな課題の中にあっても成長を続ける舞鶴を作ってまいりましょう。
出来ます。やりましょう。
市議会の皆様をはじめ、市民の皆様におかれましては、引き続きご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
舞鶴市役所政策推進部広報広聴課
電話: 0773-66-1041
ファックス: 0773-62-7951
電話番号のかけ間違いにご注意ください!