あしあと
舞鶴引揚記念館で、「引き揚げを知ろう!夏休みスペシャルデー2025」が8月11日に開催されました。
本イベントの主旨は、シベリア抑留や引き揚げの史実を通し、平和の尊さについて子どもから大人まで多世代の市民のみなさんに考えてもらうきっかけをつくることです。
イベント当日は、引き揚げ開始80年・ユネスコ世界記憶遺産登録10周年という節目を迎えたことから、朝10時から20時まで入館が無料となりました。
舞鶴市国際交流員として、私も本イベントに参加し、日本とウズベキスタンの歴史的な縁や現在の交流について発表しました。
終戦後、約60万人の日本人捕虜は、ソ連軍より主にシベリアに移送されました。抑留者のうちウズベキスタンに送られた日本人は、約2万5千人とされています。
舞鶴とウズベキスタンの間に特別な絆が生まれたのは、ナヴォイ劇場の建設に携わった日本人抑留者の多くが、帰国の際に舞鶴港を経由して祖国へ戻ったことに由来します。
こうした歴史的な縁は、両国の文化交流へと受け継がれていきました。そしてその絆をより強固にし、現在の二国間交流の礎となったのが、2016年にタシケント市にある「ウズベキスタンに抑留された人々の博物館」の館長ジャリル・スルタノフ氏が舞鶴を訪問した出来事でした。この訪問を契機として、舞鶴とウズベキスタンとの間で新たな文化交流が活発に始まりました。
その後、舞鶴市はTOKYO-2020オリンピック・パラリンピックにおいてウズベキスタン代表選手のための「ホストタウン」となりました。
2019年11月、舞鶴市とリシタン地方との間で、人材育成に関する3分野での協力を盛り込んだ覚書が交換されました。これに基づき、舞鶴市にある京都職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ京都)では、毎年ウズベキスタンからの留学生を受け入れています。
この取り組みは、ウズベク人留学生を含む若い世代に技術的な知識を習得する機会を提供するだけでなく、学生が異文化理解やコミュニケーション力を育む貴重な場となっています。留学生たちは2年制課程を修了後、市内の産業企業に就職し、社会人としての経験を積みながら、両国の発展に寄与する人材として活躍することが期待されています。
今回のイベントの締めくくりには、ウズベク民族舞踊「アンディジャン・ポルカ」と「シュギナ」が披露されました。「アンディジャン・ポルカ」はアンディジャン州の名に由来し、「ポルカ」は音楽ジャンルを意味します。この踊りは本来アンディジャン州に特有の舞踊ですが、現在では共和国全土で踊られています。
「シュギナ」は民衆の祭り、結婚式や大きな集まりで演じられるウズベクの民俗舞踊です。その特徴は、遊び心にあふれ、喜びと生命力を表現する点にあります。踊りの最中には学生語り部と一緒に踊る場面もあり、他国の文化を身近に知ると同時に、相互理解と国際平和の大切さを改めて感じる機会となりました。
舞鶴とウズベキスタンの関係には、過去の歴史と今後の新しい可能性が重なり合っています。
歴史を尊重し、互いを大切にしながら、未来の世代に希望を伝えるために築かれているこの友好関係は、これからさらに強固なものとなっていくでしょう。
舞鶴市役所産業振興部みなと振興・国際交流課
電話: 0773-66-1037
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